咬合の強い患者さんって・・

【質問】
初めまして。○○歯科の○○と申します。
インターネット歯医者さんというブログを見つけていつも拝見させていただいております。

実は開業して20年経過しておりまして、基礎的なことで知識と術式を見直したいとずっと思っていましたが今更聞けないこともあるので困っていたところ先生の素晴らしいサイトで改めて勉強させていただいております。浸麻の打ち方(ポジショニング)、CRのやり方、根治には動画も参考になり早速お役に立っております。ありがとうございました。

プレミアムファイルの治療計画編とCR編を購入させていただきました。スタッフと一緒に勉強中です。

よろしければ一つ伺いたいのですが、最近はインレーをやめてCR修復が多いのですが、ブラキシズムや歯の強い咬耗を認める患者はまず浸潤麻酔が効きにくいこと。CR後しみたり、咬合痛を発症することが傾向としてあるような気がします。本日もCR後に咬合痛を起こしている患者の再治療しました。

単に私の術式が悪いだけかもしれませんが、先生はそのようなことを感じたことはありませんか?注意していることはありませんか?よろしければご意見をお聞かせください。

今後ともよろしくお願いします。

【回答】
○○先生

ご質問ありがとうございます。そして、いつもインターネット歯医者さんをご利用いただき誠にありがとうございます。

ご開業されてから20年とのこと、大変恐縮であります。

私なんかが本当おこがましいのですが、私なりにご質問に回答したいと思います。

・ブラキシズムや歯の咬耗を認める患者さんには浸麻が効きにくいこと

→おっしゃるとおり、咬耗を認める患者さんには浸麻効きにくいと私も思います。
おそらくなのですが、咬合負荷がたくさんかかると、歯を支える顎骨(特に皮質骨)が固くなるからではないかと思っています。咬合の強い方などに骨隆起がよく認められるように、骨が固いと骨の中にある歯に浸潤麻酔が浸潤しづらいのかなと。
そう考えますと、歯根膜注射が効果的かもしれません。

・そのような患者さんにはCR治療後、しみたり咬合痛が発症しやすいこと

→おっしゃる通り、私もそのような患者さんはC治療後にしみたり咬合痛が発症しやすいように感じます。

原因としましては、いくつか考えられますが、

まず基本的に咬合が強い方は、その強い咬合力により、咬合性外傷の手前のような状態になっている方が多く、もともと咬合力の普通の方と比べまして、日頃の歯に加わる刺激が強く、それに伴い、歯髄や歯根膜繊維は亢進している状態が考えられます。

また、すでに咬耗していたり、WSDがあることが多く、それらも神経を亢進させる(敏感にさせる)要因かと思います。

例えば臨床的によくあるのが、虫歯は治療したが、WSDが残っていた。もしくは、咬耗で露出している象牙質は残っている。などです。

要は神経の閾値が低くなっている状態ですので、もともとはしみていなかったWSDが、虫歯の治療の刺激によって、虫歯治療の後からしみてくるということは十分考えられると思います。

さらに、咬合調整時にカーボランダムポイントで咬耗部をかなり刺激してしまった。などもよくありまして、同じく神経の閾値が低くなっている状態が原因として考えられます。

対策としましては、元々閾値が低くなっている状態の為、処置時にあまり刺激させないといったことかと思いますが、

虫歯治療で麻酔をしていたりすると気づかず、麻酔が切れた後次回来院時に患者さんから言われてしまったりします。
カーボランダムポイントでも歯は削れるので、意外と注意であったりします。

また深い虫歯の場合、それが原因の時もありますが、積層充填不足の時も咬合痛が出るときがありますので、そちらも留意といった感じです。

以上、合っているかはわからないのですが、原因として考えられそうなことを列挙してみました。

ご査収の程よろしくお願いいたします。

【質問】
小栗先生、お手数おかけしました。納得です。ありがとうございました。

私は大学に数年残った後、引退まじかの先生のところで代診としてほぼ一人で診療してその後開業しました。先生のようにもっと厳しいところでもまれるべきだったと思っております。

苦手なこと、やりたくないことを避けてきて中途半端な部分やよくわかっていないところをごまかして診療してきましたが、このままではいけないと思い初心に戻り患者さんのために再び勉強していきたいと思います。

また疑問点があれば質問させてください。今後の記事も期待しております。

この質問はどうぞ皆様のためにご活用ください。
質問コーナーがあったのですね。失礼いたしました。

今後ともよろしくお願いいたします。

【回答】
○○先生

せっかくいただいたメールが読め、嬉しく感じております。

いえいえ、私なんかまだまだです。キャリアをたくさん積まれているにもかかわらず、先生の勉強意欲にこそ感服致します。

掲載の件、ありがとうございます。

またのご質問お待ちしております。

今後ともよろしくお願い致します。

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